上司に恋しちゃいました
「課長…こういうとこよく来るんですか?」


4人席のテーブルに腰をおろしながら聞いた。


「まあな、お客さんに連れてこられてからここが気に入ってな」



なるほど……。



あたしはキョロキョロと店の内装を眺め見た。



壁にはメニュー板が掲げてあり、水着のお姉さんがビールを持っている古いポスターが貼られてあった。


正直に言うと、こんな所に来たのは初めてだった。


なんだか少しだけ居心地の悪さを感じて縮こまってしまった。


無愛想なバイトの女の子が注文を取りに来ると、鬼の王子は「俺ビール」と言ったので、慌てて「あ、あたしもビールで!」と言った。



本当はあんまりビールは飲めない。



でもこんな所でカクテルを頼むのも気が引けた。


むしろカクテルなんて置いてあるのだろうか……。
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