上司に恋しちゃいました
すぐにトイレに駆け込み、メールを打つ。


―――――――
宛先 拓也
題名 残業決定
本文 ごめん! 今日行けなくなった!
―――――――

肩を揺らしながら息を整えていると、ケータイのディスプレイがピンク色に光った。慌てて受信箱を開く。

―――――――
題名 RE: 残業決定
本文 わかった
―――――――

……終了。


お互い絵文字もなければ、甘い言葉もない。


これで付き合っているのかと疑いたくなる。


トイレの壁にもたれ、前髪をかき上げた。


こんな時、煙草 が吸えたらどんなにいいだろうか。


今まで吸ったことは一度もないけれど、煙草はきっと、こういう時のためにあるのだろう。


パチンと音を鳴らしてケータイを閉じる。



煙草の煙を吐くような深いため息を漏らし、あたしはオフィスに戻った。
< 7 / 341 >

この作品をシェア

pagetop