上司に恋しちゃいました
女の子達はトイレの台に化粧ポーチを広げ、念入りに化粧を直している所だった。



突然個室からあたしが出てきたので固まる彼女達。



誰も入っていないと思っていたのだろう。



少し気まずそうに視線を泳がせた。



「深川さん……聞いてました? 今の話」



いつも髪を内巻きにカールし、マスカラをたっぷり塗った女の子が言った。



確かこの子は、今年入社の宮沢さん……



新入社員なのに生意気だって誰かが言ってたっけ。



「ああ……うん、ごめん。聞こえちゃったから」

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