上司に恋しちゃいました
「クビらしいですよ」


宮沢さんは顔色一つ変えずに、鏡を見ながら口紅を塗って言った。



……クビ?




胸がドクンと鳴った。


「当然ですよ。不倫は法律で罰せられるんですよ。

会社内の女の子に手を出して、なおかつ奥さんが乗り込んできたんじゃ会社もそれ相応の処遇を与えないわけにはいかないでしょう?」


私は震える唇から小さな声を出した。


「不倫は犯罪ではないと思うけど……」


すると、すかさず別の女の子が口を挟む。


「でも、奥さんに訴えられたら、賠償金とか払わなくちゃいけないんでしょ」


「まぁクビにならなくても、会社にい辛いよね」



あたしはそんなに罪深いことをやっているのだろうか。



ただ好きなだけなのに……。


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