だって好きだから。
ばかじゃないの


―1ヶ月

平澤へのいじめは終わらないまま、時が進んだ。

日直も掃除当番もすべて回ってやることと言えは、席替え。
いまから、席の発表だ。


いじめられてる身としては、辛いだろう。
でも平澤の表情は、微塵も変わっていない。



「男子の一番誰だー」
クラスの異変にも気付かない駄教師が、黒板に決まった席を書いていく。



「女子の14番はー」

―ざわっ
クラスがどよめく。


女子の14番は、
平澤だ。



「男子の14番誰だー?」
「ざんねーん☆次の席替えまでがんばれよーっ」

あはははははははは…


クラスの馬鹿が、みんなを笑顔に変えていく。
――1部を除いて。

平澤たち4人と、俺1人が笑っていない。



「あっちゃん?」

それに気付いたヤスヒロが、俺に声をかける。

笑ってないという事は、平澤の“味方”だという事――。


「…ごめん、ぼーっとしてて」
「大丈夫か?それより聞いてくれよー。俺14番だった、最悪ー」

本気で嫌そうな顔をするヤスヒロ。



(平澤の隣り、か……)

ちょっと羨ましい、なんて思っちゃったのは、ここだけの秘密だ。

人に言うなんて当にできない。


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