プライド
プライド
その日、僕と彼は昼過ぎからロンドンのとあるパブにいた。

彼と知り合ってから何年になるのだろう。

今まで数えきれぬほど彼と酒を酌みかわしたが、それもこれでしばらくなくなる。

そう考えると少し寂しくも感じたが、それ以上の喜びと期待が僕の胸に溢れていた。

僕たちはそれぞれのグラスを手に取ると軽く合わせた。

ガツッという鈍い音がした。


「それで、キミを再びやる気にさせたのは何がきっかけなんだい?」
 
僕のその問いに彼は静かに答えた。


「バラさ」


「バラ?」


「そう、一輪の真っ赤なバラだ」

彼はそう言うと優しい笑みを浮かべた。


       ※





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