夏空
「ねぇ、歩。
ちょっといい?」
唯ちゃんのグループの葵(あおい)ちゃんと里香(りか)ちゃんに呼ばれた。
だいたい何を言われるかの予想は付いていたが、断ることはできなかった。
私は、二人に誘導され部活倉庫に連れていかれた。
「いい加減、正直になれよ」
卑劣な笑い声と共に葵ちゃんが言った。
「正直、唯のこと嫌いなんでしょ?」
葵ちゃんが卑劣な笑顔と共に口に出す。
「そんなこと……」
否定しきれない。
「あたしらさー……
正直、唯のこと嫌いなんだよね」
次に葵ちゃんからでたのは、予想してなかった言葉だった。
「制服隠したのも、あたしたち」
馬鹿にしたように笑う二人。
「どうせ、歩も唯のこと嫌いなんでしょ?
だったらさ、手組まない?」
葵ちゃんは私の前に手を差し出した。
「でも、私は一応生徒会長だから……そんなこと」
そう断ろうとしたとき、
里香ちゃんが言葉を遮った。
「生徒会長とか関係ないよ。人なんだから嫌いな子がいたって当たり前じゃん?」
なにも言い返せない。
だって、その通りだから。
「返事はすぐじゃなくてもいいからさ。待ってるね」
その言葉を最後に会話は終了した。