夏空
私もその場を離れようと、廊下に出たとき遠くから葵と里香が手を振りながら走ってきた。
「やぁっと見つけた」
葵も里香も息をきらしていた。
「どうしたの?」
私が聞くと、葵がゆっくりと話しだした。
「唯が、歩のこといじめようって。
あたしらに………
歩のことさぁ、裏切っても歩は怒らない?」
私は頷こうとしていた。
頭が真っ白になっていたのだ。
私は、私の目が一点を見ていられないほど動揺していた。
「ってゆーか………
歩の答えとか聞く前から裏切るつもりだったけど」
この日、私は捨てられた。
「制服隠したのも、唯のこと嫌いなのも事実。
でも、あんたが嫌いなのも事実」
冷たい視線が私を刺した。
―――私、生きててごめんなさい。
できることなら誰か、この話を嘘だと言って。