夏空
「キャッ………」
私は、人にぶつかりそうになった。
「すいません……」
そう、早口で謝りまた走りだそうとした時……
私の腕が掴まれた。
「ぇ……、平川く……ん?」
ぶつかりそうになった相手は平川くんだった。
「先輩っ………あの…
…突然なんですけど、先輩は好きな人いるんですか………?」
焦る私。
「知らないし、そんなの…」
どう考えても、変な答え。
「僕……
先輩が……好…き……」
この瞬間、私の心が動いてしまった。
「1ヶ月…いや、1週間だけ付き合ってくれませんか?」
驚きのあまり、黙り込む私。
「お願いしますっ!!」
私は、首を横に振れずに縦に動かしていた。
「やったぁ!!あ、じゃあ……」
そう言いながら、平川くんはポケットから一枚の紙を出した。
「よかったら、メールください」
その紙には、平川くんのアドレスが書かれていた。
「それじゃあ、用があるんで」
平川くんは手を振りながら走って行ってしまった。