君の瞳‐ヒトミノオク‐



 これはあたしの、神経が研ぎ澄まされていくときの癖。

 友だちいなくなるってよく言われる。

 元からいないけどねー。


「――…あたしは、優介に幸せになってもらいたい。
 それだけだよ」


 にっこり笑って歩き出す。

 ごめんね、あたしからは言えないの。

 ただ あいつといても優介は幸せにはなれない。

 だからあたしが君を助ける。

 どんなことがあったって…。

 アイツと別れさせてやる。

 それが優介の為なら、あたしは何だって耐えてやる。

 冷たい視線も…ねちっこい陰口も?

 君を救う為なら耐えてやろう。

 それがあたしの役目だから。


「っ…恵那は、いい子だよ!
 樫崎が知ろうとしないだけだっ!!」

「知らなくていいよ、そんなこと。
 あたしが知りたいのは優介のことだけだもん」


 振り返ってまた笑う。

 そんなに驚くことかなー?

 あたしが優介のこと好きって知ってるくせに。


「じゃ、また明日!
 帰り気を付けてね!」


 もう振り返らない。

 きっと優介は微妙な顔してるから。

 ねえ…好きだよ。

 誰よりも優介が好き。

 好きな人の幸せを願うのは、間違いですか?










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