君の瞳‐ヒトミノオク‐
…さて、奴も動いてきたしな…。
あたしも覚悟しとかないと。
…いや、もう遅い…か。
ふ、と自嘲する。
あたしの目的は優介の幸せ、ただそれだけ。
じっと前を見据える。
何があったって、あたしは大丈夫。
大丈夫…大丈夫。
誰にも理解されなくっていい。
あたしはあたしなりのやり方で優介を守ってやる。
教室の前で1つ深呼吸。
それから…ドアを、開けた。
「……」
黙って机に向かう。
中身を全部出して、鞄を掴む。
「…人殺し」
「……」
「恵那のこと突き落としたくせに!」
はあー…あほらし。
相手する気にもなんないわ。
そのまま出入口に向かう。
塞がれる進路。
「…何」
「土下座して謝れよ」
「はあ?バカじゃないの?
脳みそ入ってる?」
何でお前に謝んなきゃなんねーんだっつの。
つーか謝るようなことしてないし。
聞いた話でよくそんなこと言えるよねー。
まじガキっぽい。
「いいから土下座しろよ!」
「どーげーざ!どーげーざ!
どーげーざ!」
教室中でコールが鳴る。