君の瞳‐ヒトミノオク‐



 こんなときだけ楽しそうねー。

 ノーテンキで羨ましい限りだわ。


「ざけんな」


 その男の腹に蹴りを入れる。

 うわ、柔らかっ。

 鍛えろよなー。


「ぅぐ…っ!」

「証拠もないのにいきがってんなよ。
 潰すぞ」


 あーやっと道開いたわぁ。

 やっぱ歩くんなら堂々と歩かないとねー。


「樫崎」


 あたしの前に立つ影。

 んーやっぱ来たか…。

 来るのわかってたけどね。


「…俺、お前のこと許さないから」


 ああ、その真っ直ぐな瞳に映るのは純粋な憎悪。

 君のそんな目、見たくなかったのにな…。

 にっこり笑ってから横を通る。

 まあ、その浅知恵でせいぜい足掻いてみな?

 最後に笑うのはあたしだけどね…?










 鍵を開けて家に入る。

 遠くからテレビの音が聞こえてきた。


「誰かいんのー?」


 靴を脱いでそのままリビングに向かう。

 ドアを開けてテレビを見ると、バラエティー番組が映っていた。

 ソファーからジーパンを穿いた足が出てる。

 反対側から頭が出てきた。



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