君の瞳‐ヒトミノオク‐
「お姉!ご飯ってば!」
綺麗なソプラノ。
重たい瞼を上げると、黒髪の女の子が見えた。
あたしとは比べようがないくらい綺麗な黒髪。
やっぱ日本人は黒髪よね…なんて、自分の茶髪を恨んだ。
「おかえり……乙音」
――樫崎 乙音(カシザキ オトネ)
あたしの2つ下の妹。
緩く巻かれた長い黒髪が特徴。
あたしは部活柄、あんま髪伸ばせないから。
小さい頃から水泳やってるからか、髪茶色だし。
「ただいま。お姉今日早かったんだね」
「まあね…」
乙音には優介のこと、言ってない。
心配するに決まってるし。
「今日はチャーハンと卵スープって」
「わーい」
「棒読みなら言わなくていいから」
いやいや、微妙に喜んでるって。
寝起きで頭寝てるだけで。
のっそりと起き上がる。
うわ、制服のまま寝たからシワ寄ってるし…。
「あ!お姉、制服のままで寝ないでっていっつも言ってるでしょ!?」
「あは」
もー、なんて言って膨れる乙音。