君の瞳‐ヒトミノオク‐



 うっわ最悪…ベタベタするし。


「感謝しろよ?
 お前のこと綺麗にするためにかけてやってんだからよー」


 その声に、また爆笑するバカ共。

 は…何が面白いわけ?

 あの女…は、いないか。

 どう見回したって、あの黒髪の女はいない。

 だったらこいつらの意思でか。

 随分とまあ、飼い慣らしたもんだねぇ。

 駄犬は駄犬だけどな。

 俯いて顔を隠す。

 見えていないのを確認して…ほくそ笑んだ。


 もっと堕ちていけ。

 もっと、もっと…。


 まだ準備は整ってないけど、種まきは上々。

 さあ、次は何をしてくる?

 スカートのポケットに手を伸ばす。


「もっとかけてやるよ…っ」


 そう言ってにやにやするそいつに、ソレを投げた。

 あたしのコントロールは完璧。

 んー、スロー再生して見たいくらい。


「っうわあああああああああっ!!!!」


 必死で高笑いするのを抑えた。

 驚きすぎでしょ…っ。

 ――ただの、クモのおもちゃなのに。



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