君の瞳‐ヒトミノオク‐



 相変わらずいい反応。

 毎日笑い堪えんの大変なんだけどなー。


「ゆっ優介くんっ…おはよう」

「恵那、おはよう」

「あたしにはー?」


 軽く睨む。

 妙におどおどしたこの黒髪の女。


――星野 恵那(ホシノ エナ)

 怯えたようにあたしを見てくる。

 あーイライラする。


「お、おはよう…樫崎、さん」

「うん」

「お前は挨拶しないのかよ…」


 そんな呟きを無視して自分の席に向かう。

 途中で聞こえてくる声もむーし。

 何かあんなら正々堂々言って来いっつーの。


「恵那まじかわいそー。
 あんな女死ねばいいのにねー」

「うんうん、つか人の男に言い寄っといてよく学校来れるよね?」

「神経図太すぎなんじゃん?」


 鞄を置いて教科書を詰め込む。

 机に入れてたら何されるかわかんないし。

 一緒に持ってきた本を開く。

 今日もミステリー!

 この臨場感が半端ない!


「礼央ー」

「あ、旭おはよー」

「おはよ、あんたまだ懲りてないの?」


 呆れたように見てくるこの女。



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