君の瞳‐ヒトミノオク‐



「別にいいって。
 ありがと、礼人くん」

「どいたまーですー」


 この気の抜けた口調はどうにかならないかとは思うけど。

 ま、個性だしいっか。

 それにしても、部長と足して2で割れば丁度いいのに…。

 部長は熱血水泳バカタイプ。

 礼人くんは実は水泳バカタイプ。

 どっちにしろ水泳バカなんだけどさー。


「おらっ!」


 なんとなく抱き着いてみる。

 あ、あったかいなー。

 子供体温なのかな…?


「センパイ、肉付き悪いですねー」

「あは」


 人が気にしてることサラリと言いやがった。

 あたしは小さい頃から水泳やってるせいで

 脂肪が全然ない。

 人には贅沢とか言われるけど。

 体脂肪率1桁だし…。

 胸Aカップだし…。

 ガリガリしてんの、実はコンプレックスなんだよねー。


「弟ォォォォォ!!!!
 おまっ、プールに放り込むぞ!!!!」

「僕が抱き着いたんじゃないし」


 あれ…いつもの間延びした語尾はどこいった…??

 さりげなく黒いんだけど、気のせい…??



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