君の瞳‐ヒトミノオク‐
あたし、隠し事されんの嫌いなんだよね。
自分はするけど。
問い詰めようとして口を開く。
「とりあえず校舎出るぞ」
「閉められてお泊まりとか嫌だし」
そう言われて、渋々手を離す。
ため息を吐きながら鞄を持って、歩き出す。
時間はまだあるし、いっか。
「で…」
恭平のほうを見た、瞬間。
あの人の姿が目に入った。
「優介ー、ばいばーいっ!」
佇んでる優介に手を振る。
ふふん、後ろ姿でだってわかるし。
驚いて振り向いた優介に笑顔を向ける。
そしたら優介の隣に、あの女が見えた。
ちっ…あいつと一緒かよ。
しかも目、顔ごと逸らされたし。
つれないなぁ…悲しいっ。
「…礼央、まだ矢嶋くんのこと好きなの?」
「まだって何さまだって」
あたしはいつまででも優介らぶですけど?
だって諦める要素ないし!
ますます惚れるだけだしー。
「あんな奴やめとけって!」
「恭平うるさい」
大して知りもしないくせにあんな奴とか言わないでくれる?