君の瞳‐ヒトミノオク‐



 そう思って、恭平を睨む。

 その視線は、手に邪魔されたけど。


「俺らはお前のことが心配なんだって」

「余計なお世話だし」


 孝平の手を振り落とす。

 あたしが優介を好きなのはあたしの問題だし。

 それで嫌がらせされようが孝平たちには関係ない。


「あたしは大丈夫だし。
 そんなことより明後日予選なんだから、自分のこと気にしなよね」


 びしっと恭平を指差す。

 人を指差しちゃダメだけど、今だけ今だけ。


「1年に負けるようじゃ予選敗退だよ。
 しっかりしろ!」


 それから、思いっきり背中を叩いた。


「いってぇ!」

「もっと鍛えろー!
 んじゃまた明日ね!」


 バス組の亜依那と恭平に手を振る。

 ちなみにあたしと孝平は電車組。


「気を付けなよー?また明日!」

「容赦なさすぎ…じゃーな」


 孝平と並んで歩く。

 何かこの雰囲気嫌かも…。

 なんとなく、気まずい。


「…大会近いんだから変なことすんなよ」

「ハッ、あたしからは手ぇ出さないし」


 ただ正当防衛くらいはね…。

 ま、予選あるし。

 予選のあとは県大、関東、全国ってあるんだから…。

 怪我だけはしないようにしないと。

 まず明日、乗りきんなきゃ。


「絶対に全国まで行くよ」


 小さく見える星に手を伸ばす。

 絶対に全国まで行って、優勝してみせる。

 ニッと、孝平に向かって笑った。

 それがあんたとの約束だもんね。





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