君の瞳‐ヒトミノオク‐
あの頃あたしはスランプで、毎日部活をサボってた。
1年がサボって上級生が気分悪いのはわかってる。
でもどーしようもなくて、木の影に隠れていた。
―タンッ
静かだった中で、1つだけ音が鳴る。
遠くない場所で弓道部が練習していた。
1番手前の場所で、1人の男の子が矢を打っていた。
詳しいことなんてわからない。
けど本能で、上手いって感じた。
移動するためにか顔を動かした瞬間――
――目が、合った。
そしてその真剣な瞳に射抜かれた。
すぐに目は逸らされてしまったけど、あたしはずっと目で追った。
君の瞳に射抜かれた瞬間、あたしは君以外見えなくなった。
これが優介との、出逢いだった。
そっと優介が微笑む。
ああ…やっと、振り向いてくれたのかなぁ。
なんて思ってにやける。
優介…優介?
あたしが優介を守るよ。
どんなことがあったって構わない。
友だちがいなくなったって気にしない。
その程度の仲だったって、それだけでしょ?