君の瞳‐ヒトミノオク‐
そっちのほうが好都合なのかもしれないけど。
問題はこの2人より…孝平だよ。
「…礼央、」
「へーき、手は出してないから」
ポケットの中で機械を掴む。
さっき止めたし…大丈夫だよね。
笑ってみても、孝平の眉間の皺は消えないらしい。
「そうじゃなくて…明日、予選だぞ?」
「わかってる、怪我してないよ」
「…ならいいんだけど」
亜依那からティッシュをもらって拭く。
カーディガンに付いたのは…洗濯するしかないか。
歩きながらカーディガンを脱ぐ。
ついでにシャツも脱いじゃお…。
上からボタンをはずしていく。
「ちょ…っ、何してんだよ!」
「は?気持ち悪いから脱いでるだけ」
「だからって…!」
恭平が赤くなりながら自分のセーターを脱ぐ。
あたし、下にTシャツ着てるんだけど。
ま、いっか。
「これ着て!」
「いいって、汚れるじゃん」
「いいから!」
無理矢理着せられる。
ちょ、何か強引…。
「黙って着とけよ」
「そーそー、人の厚意は受け取っときなよ」
「…ふーん」