君の瞳‐ヒトミノオク‐



「んじゃ解散!」

「お疲れさまでしたーっ!」


 もうちょっと練習したくて、プールに寄る。

 やり過ぎるわけにはいかないけど。


「樫崎センパーイ」

「礼人くん、何?」

「まだやるんですかー?」


 気だる気な瞳を見る。

 高校入ってから初の大会なのに、緊張しないのかな。

 あたし、ガチガチに固まってたなー。

 中学と高校の差が怖くて。

 ま、余裕だったけど。


「泳ぎ足りないんだよねー」

「身体壊しますよー」

「へーき、礼人くんも泳ごうよ」


 水の中に入って、礼人くんに水をかける。


「わっ…遊ぶんなら大久保センパイにしてくださーい」

「弟ォォォォ!!!!」

「ははっ」


 久しぶりにバタフライをしてみる。

 んー、やっぱ違和感あるな。

 クロールが1番だわ。

 そうそう、恭平はバタフライの選手なんだよね。

 亜依那は背泳ぎ。

 息継ぎが出来ないんだってさ…意味わかんないけど。

 で、あたしと部長と礼人くんとかが自由形。

 あとフリーとメドレーに出るんだっけ。

 孝平がいれば…なんて、考えちゃう。



< 53 / 91 >

この作品をシェア

pagetop