君の瞳‐ヒトミノオク‐



 そんなものより優介が欲しい。

 優介ー?

 あたしね、優介がいれば強くなれる気がするんだ。

 タイムだって伸びる気がする。

 だからさぁ…例えニセモノでもいいから、笑って?

 優介、優介ー好きだよー?

 あたし、負けないよ…。


「――樫崎ッ!!!!」

「……ぁん?何だよー」

「何だよじゃない。
 いつまで寝てるつもりだ?」

「せんせーの授業が終わるまでー」

「いじめかっ!?」


 欠伸をしながら時計を見る。

 9時35分…か。

 まだまだ寝れるじゃん…。

 また机に突っ伏す。


「寝るな!
 この空欄に当てはまる人物は?」

「んーじゃあペリーで」

「ペリーが平安時代に出てくるかぁっ!
 どうしてお前は――…」


 しつこい小言を聞き流す。

 あーあ、あたしが優介より後ろの席だったらなぁ。

 そしたら見てられんのにー。

 ひーまーすーぎーるー。

 あたしにとって、水の中と優介の隣以外どーでもよくて。

 早く放課後になればいいのに。

 なんて思いながら、また寝た。










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