君の瞳‐ヒトミノオク‐



 普通の専業主婦は亭主関白で大人しいんでしょ?

 うちはかかあ天下だから。

 現に父さんは…


「でも双葉さん、乙音も潮も大事な時期だし…」

「あなたには聞いていません、黙っていなさい」

「はい、すいません」


 むしろ発言権さえない。

 普段は母さん、父さんにべた惚れなんだけどね。

 家族のことにはうるさいんだ。


「あなたたちの生きたい様に生きなさい。
 けれど私たちは家族なのだから、いつでも1つですからね」


 そう言う母さんの願い。

 小さい頃から何度も聞いてきた。

 あたしたちはみんなで1つなんだって。

 名前もそれに間接的にだけど関係してるし。

 自分のしたいようにする、それが樫崎家家訓第一条。

 周りが反対したって貫き通すこと。

 これが樫崎家の決まりだから。

 だからあたしは…何を言われたって、諦めないよ。

 絶対に優介と別れさせてやる…。





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