君の瞳‐ヒトミノオク‐
あたしたちの戦いは一瞬。
頭で考えるより、身体を動かして
自分と戦って、打ち勝つしかない。
会場全体を包み込む緊張感。
鳥肌立つし…武者震い?
「…礼央」
「…孝平」
静かに向き合う。
周りは騒がしいのにあたしたちだけ違う世界にいるみたい。
目を見れば、心の中が見える気がした。
…あんたの思ってることくらい、わかってるよ。
でもそれは口にしたくないことだから。
「――勝つよ。
ぶっち切りで優勝してやる」
「…礼央」
少しだけ、孝平が笑った。
「みんな、行くよ」
「はいっ!!」
会場にあたしが足を踏み入れたら、空気が変わった。
…大したこと、してないんだけど。
結局負けたし。
「樫崎だ…」
「わ…本物?」
本物以外いないっつーの。
違う奴いたら怖いだろ…。
「クスッ、礼央…見られてるよ?」
隣にいる亜依那が言ってくる。
「そーね…見物料ふんだくろうかな」
「あははっ」
いや、本気なんだけど。