君の瞳‐ヒトミノオク‐



 興奮と焦りと…恐怖が混ざってたんじゃないかって。

 もしそれがあの0.2秒の真実なら、俺は礼央のそばにいる資格はない。

 2人で全国制覇しようっていったのに…

 破ったのは俺なんだから。

 ――けど俺は信じてるよ。

 お前は俺にそばにいろって言った。

 もう泳げなくても、永遠のライバルだって。

 それが無性に嬉しかった。

 だから俺は全力で、礼央のサポートをしようと思ったんだ。

 俺じゃなきゃ気付かないこと、あるだろうから。


「今年はどっちだろうなぁ」

「「「――礼央が勝つ」」」


 重なった声に思わず目を見開いた。

 …恭平と亜依那もそうみたいだ。

 3人で笑い合う。

 1年間、ずっとそばで礼央を見てきた。

 どんなときも飄々として、弱味を見せない礼央。

 でもそれは誰よりも努力をしてるからだ。

 努力による自信。

 それが才能の何倍も上回っていく。

 台に立つ礼央を見つめた。

 あいつが負けたままでいるわけないだろ?

 あのプライドの高い、ライオンがさ…。

 邪魔をする奴は容赦なく潰す。

 1回負けたからって挫折する奴じゃない。

 そのことをバネにして、食いかかっていく奴だ。

 本当、レオだよな…。





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