君の瞳‐ヒトミノオク‐





「せーの…礼央、部長、予選突破おめでとーっ!!」

「かんぱーい!」


 力を入れて乾杯をしたせいか、ジュースが恭平にかかる。

 盛り上がってて気付いてないみたいだし…

 いっか、黙っとこう。

 予選は無事、突破した。

 1年生は2人惜しかったんだけどね。

 2年と3年は全員上がって、1年は礼人くんと女の子が上がった。

 このまま全国制覇だ…もう、吉川には負けない。

 吉川っつーのは1コ上で去年あたしが負けた奴。

 もうあいつは3年だから、今年しかチャンスはないんだ。


「礼央」

「…あ、孝平」


 あたしの隣に座る孝平。

 無言でジュース飲んでるから何か怖い。


「…お前さ、恥ずかしいことすんなよ」

「はあ?恥ずかしいことって何さ」

「だから、大会新記録とか…出来なかったらどうすんだよ」


 なーんか暗いなぁ。

 孝平が不安になるとかレアすぎる。


「へーきだって…勝つし」


 もう2度と負けるつもりはない。

 一応予選は1位で突破だしね。

 2位の部長には悪いけど。

 あたしにだって…譲れないものがあるし。



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