君の瞳‐ヒトミノオク‐



 王者だか何だか、あたしには関係ないし。

 ぶっちゃけて言えば吉川も通過点だし。

 あたしの敵はあたしだけ。

 王者でも吉川でもないんだよ。


「樫崎センパーイ、回ってきたんでどうぞー」

「あ、ありがと」


 回ってきたのは誰かのケータイ。

 何?

 そう思って画面を見た瞬間…吹き出した。


「ぶっ!!何これ恭平…やばっ」

「ぶはっ!これはないだろ…っ」


 一緒に見た孝平もツボったっぽい。

 画面には恭平の変顔が写っていた。

 やばすぎでしょこの顔…っ!

 人に見せられるモンじゃない!!


「弟ォォォォ!!!!」

「ほーんと、こんな顔でよく生きてられますよねー。
 僕だったら生まれた瞬間に死を選びますよー」

「弟ォォォォ!!!!」


 笑い声で包まれる部室。

 みんな笑いすぎで目尻に涙を溜めて お腹を抱えて

 こんな一瞬一瞬が大事なんだ。

―ブブブ…ブブブ…


「あ、メール…っ」


  20XX/05/15 17:13
From浩司
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正門で待ってるから来ーい
   ---end---



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