君の瞳‐ヒトミノオク‐










「――央、礼央…起きなって」

「……ぅ、」


 意識が浮上していく。

 眠ったままの頭で周りを見る。

 動き回る人々。


「もうお昼だよ?
 毎日毎日、よく寝れるよねー」

「まあねー…ふあっく」


 欠伸をしながらお弁当を出す。

 今日はどこで食べるかなー、んーっ。

 伸びをして立ち上がる。

 とりあえず天気いいし、中庭にでも行くかなー。


「中庭行こー?」

「うん」


 ぶらぶら歩く。

 突き刺さる視線。

 こそこそ聞こえる陰口。

 何かあんなら真っ正面から言ってくればいいのに。


「ふぁ…って」

「ったぁ…あ、コイツってさぁ」


 ぶつかった女を見る。

 無駄に香水振り撒いてて臭いんですけど…。

 制服ついてないよね?

 くんくん嗅ぐと、何か匂ってる気が…最悪ー。


「大したことないのに優介くんに付きまとってる女じゃん?」

「ああ、あの勘違い女ー?
 ほんとに存在してたんだーアハハッ」

「つーか香水臭すぎなんだけど、嗅覚正常?
 あ、正常じゃないかーごめーん」



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