君の瞳‐ヒトミノオク‐



 乙音ちゃんきびしー。

 まな板もまな板で悲しいんだよ?

 着痩せどころかガリガリできもいし。

 男はちょっと肉があるほうが好きって言ってたし。


「やっぱ色仕掛けで迫ったらちょっとは変わるかも…」

「…お姉と色気って結び付かない」

「何を…っ」


 あたしだって色気くらい…うーん。

 色気ってなんだろ…?

 悲しいけど乙音の言う通りじゃん。


「てかお姉食べるの早くない!?
 ちゃんと噛んでる?」

「まあ癖だろーねー」


 ほら、うちって家族多いから。

 もたもたしてたら食べ物なくなるし。

 だから早食いの癖がついちゃったんだよね。


「もー待っててね?」

「うん」


 一口一口食べるところを見る。

 一口ちっさーい…。

 乙音ってほんと、“女の子”だよね。

 あたしとは正反対だよ。

 乙音なら優介も…好きになってくれるのかな?

 まあ乙音にはやらないけど!

 まずあの女を優介と離れさせないとね!

 だから胃をゲットしないと!!

 あたしには乙音がいるから大丈夫なはず。



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