君の瞳‐ヒトミノオク‐
乙音は料理得意だしね。
乙音が食べ終わるのを待って、会計をした。
人混んできたしうざいなぁ。
「…ねえ、あれって」
「うわ本物?
休みまであいつのこと見るとか最悪なんだけど」
…あーこのパターンは想像してなかった。
乙音は誰のことを言ってるのかわかってないっぽい。
まあそれでいいけど。
乙音には好きな人がいるってことしか言ってないし。
あの女のこととか状況とか、言ってない。
「すかしてんじゃねぇよ」
「あの人たち、あたしたちのほう見てるんだけど…気のせい?」
「気のせい気のせい」
乙音の手を引っ張って出口に向かう。
決定的なことを言われる前に出なきゃ。
けど相手も同じことを考えていたらしい。
「優介くんはお前みたいな性悪女にはなびかねぇからー!」
「優介くんは恵那の彼氏なんだよ!」
「優介って…え?」
「乙音、行くよ」
ちっ…あのブス共。
こっちが言い返さないからっていい気になりやがって。
乙音の視線を無視する。