君の瞳‐ヒトミノオク‐



 2人には好きな人がいるってしか言ってないし。

 …さすがに、兄貴たちは…やめろって言ってきそー…。


「礼央、ちょっといいか?」


 き た よ

 面倒だから寝たフリをする。


「礼央、入るぞー?
 …あれ、寝てるし」


 勝手に入ってくんなっつーの!

 浩司のアイス食ってやる。


「…礼央、乙音に聞いたぞ…」


 床に座って頭を撫でてくれる。

 その温もりが、兄貴によく似ていた。

 …一応浩司も、兄貴だしね。


「お前は、1人で…何やってんだよ。
 お前は“礼央”なんだぞ?
 …1人じゃ行動出来ないだろうが」


 野生扱いすんなしっ。

 あたしに出来ないことなんてない。

 だって“レオ”なんだから。

 いつでも強く、気高くいなきゃ。


「…お前にそれをやったのは、間違いだったのかな」


 あたしの手の中にあるローズクォーツをいじる。

 このローズクォーツは、1年前に浩司がくれたものだ。

 あの日も浩司は早く帰って来ていて、誰よりも早く教えた。

 そしたら次の日に、これをくれたんだ。



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