君の瞳‐ヒトミノオク‐



『頑張れ。礼央なら大丈夫だ』


 って。

 …さすがにあの女と付き合い始めたらやめろって言ってきたけど。

 邪魔な女がへばりついたくらいで、あたしの気持ちは変わらない。

 あたしはあの日からずっと、優介が好きなんだから。


「怪我とか、酷いことされてないよな?
 …お前は1人で背負い込むから心配なんだよ」


 だーいじょうぶだって。

 伊達に小さい頃から殴り合いの喧嘩とかしてないし。

 むしろ返り討ちだし。


「お前は誰よりも“樫崎”だから…余計に不安なんだ」


 まあ、よく言われるけどさ。

 あたしは誰よりも樫崎だって。

 まあ本家だしね?

 アキにも言われたさ。

 あたしほど樫崎なのはいないって。

 母さんには負けると思うけど。

 もう1度頭を撫でて、浩司は出ていった。

 ゆっくりと目を開ける。

 あたしは…負けるわけにはいかない。

 1度、自分で決めたんだ。

 優介とあの女を別れさせるって。

 だから何があっても、負けない。


「…ゆうすけ……」


 ねえ、大好きだよ?



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