君の瞳‐ヒトミノオク‐
未だに原因わかんないんだよね。
おかげであたしの使ったオーブンは買い換えていいやつになったらしいけど。
「…矢嶋くんにあげるの?」
「うん、明日誕生日だからさー。
乙音に教えてもらってんの」
さすがの乙音もフリーズしてたけど。
あそこまで出来ないとは思ってなかったらしい。
だから母さんはあたしに料理させないんだって。
今まで知らなかったことに驚いたよ。
「まあ…くれぐれも怪我はしないように。
怪我しなきゃ何したっていいわよ」
「はーい」
まあ怪我はしないでしょ。
多分大丈夫ってたぶん…。
欠伸を噛み殺しながら教室に向かう。
また孝平に頭叩かれたし…。
さらにバカになるじゃんか。
これ以上成績落ちたら母さんに起こられるんだけど…。
午前の授業はぶっ通しで爆睡。
あとで亜依那にノート見せてもらおう。
クラス違っても教科担任一緒だし、問題ないでしょ。
「礼央ーご飯食べよー」
「ん、」
横に掛けていた鞄を持つ。
あれ…何か、軽い…?