君の瞳‐ヒトミノオク‐
その場で鞄を開ける。
「礼央?」
「…弁当、ないし」
「え?」
ちっ…やられた。
周りでクスクスと笑う奴等を睨み付ける。
そのまま教室の隅のゴミ箱に近付いて、覗き込む。
中には母さんの美味しい弁当(見るも無惨な姿)があった。
食いもん粗末にしやがって…いやいや、キレんな。
わざわざ蓋を開けてくれたおかげでぐっちゃぐちゃ。
蓋も回収して弁当箱を持つ。
そして、バカ笑いしてる男に――投げ付けた。
「ってぇ!何すんだよ!!」
「お礼」
「はあ!?」
バカ笑いしてたっつーことは、大方犯人はこいつでしょ。
まあ、弁当みたいに見るも無惨な姿になってるけど。ぷっ。
「殺す…!」
振り上げられた拳を鞄でガードする。
「…っ!」
「ハッ、だせ」
「この…!」
「は、原田くん!やめて…っ」
「でも、星野…っ」
あーはいはい、ここでお出ましか。
びくびくと震えながらこっちに近付いてくる。
支えるように、その横には優介が立っていた。