君の瞳‐ヒトミノオク‐



 他はどーでもいいけどさ、…優介のその目は堪える。

 心の底から軽蔑するような、そんな目。

 もうちょっと、だよ。


「か、樫崎さんも…!
 どうして、こんなひどいことするの…っ?」

「恵那、無理しないで」


 ぎこちなく歩く、包帯を巻いた足。

 違和感は全くない。

 だからこそ、むかつく。


「なんとか言えよ!」

「なん」

「…っ!」


 何さ、なんとか言えっつったのそっちじゃん。

 つーか…昼御飯、ないし。

 恭平にたかるかな。

 優介があたしを見るような、そんな目であの女を見る。

 いじめられっ子が勇気を出していじめっ子に立ち向かう、そんな場面。

 ハッ、まじ笑える。


「あ、あたしが…樫崎さんに何かしたなら、謝るよ。
 でも…優介くんは、あたしの彼氏なの…!」


 ああ…吐き気が、する。

 その口から優介が彼氏、なんて聞きたくない。

 自然に眉間にしわが寄って、目の前の女を睨む。

 そうすればまた怯えて、優介があたしとの間に入る。



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