君の瞳‐ヒトミノオク‐
「きょーへいっ」
「うお!れ、礼央っ?」
「昼一緒食おー。つか恵んで」
購買の帰りなのか、恭平の手にはパンがいっぱい。
2、3個もらってもいいよね。
「まあ、何個かやってもいいけどよ…まず降りて」
「やだ、このまま連れてけ」
「首絞まる…!」
「ファイトー」
「他人事!」
「そりゃあな」
あたしはぶら下がってるだけだし。
落ちそうんなったから恭平の腹に脚を絡める。
よし、まだまし。
「れ、れれ礼央さん」
「れ多いっつの。何?」
「まじ離れてくれませんか」
「却下」
ため息を吐いて項垂れる恭平をそのままにして、1組に向かう。
クラス離れてたとしても…噂くらい行ってるか。
勝手に騒いでくれればいいんだけど。
直接言ってきたら相手すりゃあいいだけだし。
「恭平おかえりー…って、あれ?」
「礼央…?」
「よー朝ぶりー」
「何で恭平にくっついてんの!?」
「いたから」
「いたから、ってな…」
恭平の背中から離れて脚をつける。
うん、やっぱ自分で歩くほうがいいな。