君の瞳‐ヒトミノオク‐
「礼央、恵那ちゃんに謝んなよ!」
「誰が謝るか。
ほんとのこと言っただけじゃん」
べっと舌を出す。
まさに四面楚歌状態。
ま、気にしないけどー?
「礼央!」
「あ、今日も一緒に部室行こうね優介!
んじゃまーたねー」
手を振って中庭に向かう。
陰口なんて気にしない。
気にしてたらキリないし。
あたしの味方なんて、誰もいないんだから。
部室に行くまでの道は、何だかんだで短い。
やっぱ優介と一緒にいるからかな?
まあ相変わらずそっけないけどー。
「でさでさ、」
「…樫崎は、」
「ん、何?」
久しぶりの優介からの話題。
足を止めて聞く。
優介も止まって、あたしを見る。
…そんなに見つめられたら照れるんですけどー。
「何で俺と恵那を別れさせようとすんの?」
「――…」
無意識に、目が冷たくなっていく。
あー、この目人に見せんなって言われてんのに…仕方ないか。
感情の問題なんだからしょうがないし。