君の瞳‐ヒトミノオク‐
今日結構やったから、明日はもっとしてくるはず。
そう言えば明日って集会あるじゃん。
確かこの間の予選の表彰も。
このまま1番で…行けるかな。
1番以外いらないし。
部室に飾られた去年の賞状。
あたしはいらないから、部室に飾ってある。
全国2位、っつったって…敗者は敗者だよ。
それでも破り捨てなかったのは、優介のお陰なんだけど。
あのときの優介がいなかったら、今のあたしはいないんだ。
「ゆうすけー…」
あとちょっと、あとちょっとって言ってきたけど…案外長いかもね。
でもあたしは優介のためなら頑張れるから、ね?
優介は、何も知らないまま…笑っていてほしい。
君のためなら、どんなことだってしてやる。
それが君の幸せに繋がるのなら…
あたしは、悪者にだってなってやる。
―がちゃり
教室のドアが開く。
「…樫崎先輩?
何してるんですかー?」
「…礼人くんこそ、何やってんの?」
気だるそうな黒目があたしを見る。
部長の弟の、礼人くんだった。