王子様orお姫様 ~お姫様の正体は王子様!?~

偶然

 沈黙が続く中あたしはさっきの光君の
言葉を考えていた。

 光君には好きな子がいない。

 美里もそしてあたしのことも好きじゃ
ない・・・。

 あたしの目には涙がたまってきた。

 光君はそれに気づき焦り始めた。

「ど、どうしたんだよ急に」

「・・・」

「俺のせいか?」

 あたしは首を横に振る。

「とりあえずそこの公園に行こうぜ」

 光君は近くの公園を指差した。

 そう言って光君はあたしの腕を引っ張
って公園のベンチに座らせた。

「それで何でお前泣いてんだよ」

「泣いてなんか・・・ないよ」

「泣く寸前だろうが」

 たしかにあたしは今泣く寸前だ。

「そう・・・だけど」

「言えないことか」

 あたしは頷いて答えた。

「そうか、言えないことか・・・」

 光君の優しさで更に泣けてきた。

「ひっく、うっく」

「は~」

 光君はため息をついた。
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