空唄 ~君に贈る愛のうた~
両親と別れて向かうのは、喫茶店『BULE』。

今日はいつもより少ない時間だけど、バイトが入っていた。

できれば早く切り上げて遥の所に行きたい。

何か……嫌な予感がするから。



「なぁ、花音?」

「へっ?!」


ちょっと前にお客さんを見送ってから、店内には一誠と花音だけ。

静かな店内には、控えめにラジオから歌が流れている。


「お前、挙動不審」

「そっ、そんなことないよっ」

「いーや、あるね。だってお前さっきから落ち着かねぇもん」



……いっちゃんに言われた通り、さっきから落ち着かない。

ううん、落ち着けない。

だからあっちこっちを行ったり来たり。

じっとしてることができなかった。

動いてて何かよくなる訳でもないんだけど。

なんとなく気分が増しになる気がしたから。


―なんだろう、この感じ……

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