空唄 ~君に贈る愛のうた~
どう言い表したらいいか、わからない。

ただ感じるのは、どうしようもない程の胸騒ぎ。


「あぁ~、豆あんまねぇや。ちょっと取ってくるから、客が来たらよろしくなっ」

「はーい」


一誠はそう言うと店の奥へと入っていったので、花音は大きくため息をついた。


「はぁ~……なんだかなぁ。って、あれ?」


なんとなく店の隅に目をやると、そこには古びたギターが立て掛けてあった。


「ギター?」


―ギターなんてあったっけ?


手に取ると少し埃が積もっていたけど、十分に弾けそうだった。

椅子を引き寄せて座ると、ギターを構えて右手で弦を弾く。


「ぅわっ……音ずれてる」


バイトってことを忘れて、ギターをチューニング。

右手で音を鳴らしながら、左手で調節する。


「よし、できたっ」


もう一回右手で弾くと、先ほどとは違って心地いい音が店内に響いた。


「勝手にやっちゃったけど……誰のギターなんだろ?」


改めて見ると、花音もそんなに詳しくはないけれど高そうなギターだ。


「おじさんのかな?」
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