空唄 ~君に贈る愛のうた~
「さい、ごっ……?」


遥のその言葉と同調するかのように、遥の体がきらきらと光はじめた。

その光は小さな粒になって、遥の足元から空中へ散っていく。


「いやっ、やだよっ!ねぇ遥っ」

「うん。俺も嫌だ。できれば花音とずっといたかった。
けど、無理なんだ。俺、もう死んでるからさ」


困った笑顔を見ると、悲しくて切なくて。

涙が枯れることを知らないかのように次々とでてくる。

最期だなんて信じたくなかった。

だけど、紛れもない事実で。




「花音」


ふいにやさしい声で名前を呼ばれた。

お互い何も言わずに見つめあう瞬間、胸が苦しくなる。


それが合図で触れあった唇。

遥と交わすさいごのキス。




「また逢おうなっ」



屈託のない笑顔を残して、遥は空に溶けていった。

きらきらとした光の粒も、名残惜しそうに消えていった。



君はいってしまった。

私の手の届かない、あの空へ――……







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