空唄 ~君に贈る愛のうた~
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花音へ

これで多分
最後の手紙です。

オレさ、お袋倒れて
死んじゃったんだ。
いつも無理してたから
仕方ないけどな。
やっぱ悲しいよ。
花音の気持ち、
わかった気がする。

今思い出すのは
あの団地の頃のこと。
あん時がいっちばん
幸せだったと思う。
親父もお袋もけんかは
するけど仲良くてさ。
花音や海斗兄に
おじさんおばさん。
あれがオレにとって
人生最高の時間だった。

花音、俺な

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そこで唐突に切られた手紙はどうやら2枚目もあるらしく、今度はそちらを手に取る。

そこに書いてあった言葉を見た瞬間、止まっていた涙がまた流れはじめた。



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花音のことが
大好きです。

例え花音がオレのこと
覚えてなくても
オレはまた花音に
恋するつもりだから。
絶対絶対、また
会いに行くからなっ。
今、正直辛いけど、
花音のこと思い出して
がんばるよ。

じゃあ、終わります。
また会う日まで、
お元気で。

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