空唄 ~君に贈る愛のうた~
きっと遥は、この手紙を書いてそんなに経たないうちに自殺をした……。

遥は何を想いながら、何を感じながら飛んだんだろう。

もしかしたら世の中に絶望しながら飛び降りたのかもしれない。


世界はあまりに残酷で、誰も彼の心の救いになれなかったんだ。

彼の傷は深すぎて。

自ら終わらせることでしか、断ち切る方法が見いだせなかったんだ。


「よ……うっ」


手の平でを拭うけど、止まることなど知らないみたいに涙ら次々溢れ出す。



なんで私は忘れてしまってたんだろう。

自分も恋してた気持ちを。

ほんとはずっとずっと、同じ想いだったてことを。


どうして忘れてしまってたんだろう。

遥は長い間想ってくれてたのに。



枯れることのなく流れる涙が一粒手紙に落ちた。


「あっ……滲んじゃう」


そう言って拭こうとした場所に、まだ文字が書いてあった。

どうやら見過ごしてしまってたみたい。

拭き取り、それに目を通した。
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