空唄 ~君に贈る愛のうた~
いつも通り、あの団地の公園で遊んでた時のこと。


あまり大きくない公園の中には、一通りの遊具はあった。

その中でも人気なのは、水色に塗られたブランコ。

子どもの頃、目を瞑ったら空を飛んでるような感覚になれて好きだった。

世間一般的に今はお盆休み。

大体の家族が帰省していて、この団地もいつもより静まり帰っている。

なのでこの時間帯ならブランコの取り合いになるのに、今日は花音達が独占出来た。

右から2番目のブランコに乗り、遥はその左隣に乗る。

海斗は友だちと遊ぶらしく、今日は2人っきり。


[なぁ、花音]

[んっ?]


ふいに遥に名前を呼ばれた。

座ったまま小さくこぎ始めてたので、揺られながら返事をする。


「あしたいいたいことあるから、この場所でまってて」

「いいよ。でも今日じゃだめなの?」

「うん、あした」

「なら約束ね」

「約束」



小さな小指を絡ませて、約束の証の指切り。

お互い何か気恥ずかしくて、目を合わせて笑いあった。


遥の笑顔が淡く光はじめて……
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