空唄 ~君に贈る愛のうた~
1年前と、なにも変わりなく河原にはよく行っていた。

今日みたいに歌う為、って言うのもあるけど、
実はいちばんは遥に会えそうな気がして……。

気がついたらここに来てるってことも何度もあった。


階段を降りて砂利の上に足を乗せる。

太陽は嫌味なくらい地上を照らしていた。


「前はあんなに嫌いだったのになぁ」


今はそうでもなくなってた。

夏を好きになったから……かもしれない。


「私が夏を好きになった理由を、君に言うと笑われちゃいそう」


なんだか可笑しくて、ひとり苦笑する。

ほんとに簡単な理由すぎて、つくづく自分馬鹿だなと思う。

でも――私にとっては大切だったから。

ギターを出して、コンクリートの上に座る。

ひんやりした感触が心地よかった。


「ねぇ、遥。
私ね、遥の為に歌作ったんだよ。
今から歌うからきいてね」


目を瞑って、君の笑顔を思い出す。

どこに居たって、きっと大丈夫。

私の歌を、今、贈ります。


< 135 / 141 >

この作品をシェア

pagetop