空唄 ~君に贈る愛のうた~
空は相変わらず眩しくて。

コンクリートに体を預けるように寝転ぶと、気持ちよくて寝そうになる。

そうしてると、1年前のあの日が頭に浮かんできた。




あの日もこうやって歌って、ここで寝そうになった時に……
遥に出会った。

今でも忘れない。

いや、忘れれない。

出会った不思議な男の子は、実は幽霊で。

さいしょは怖かったな。

だけど、徐々に惹かれていって――


はじめての恋をした。

恋のせつなさも、愛しい気持ちも全部はじめてで
ただ追いかけるのに必死だった。

叶わない恋って、わかってたのにね。

恋ってすごい。

はじめてのキスも、この場所だったっけ。


「……なーんか懐かしいなぁ」


ひとりごちた言葉は、まるでコンクリートに吸い込まれるように消える。

期間は短かったけど、いろんなことがぎゅっと詰まった夏の日々。


―遥に出会えてよかった……


そう、心から思う。



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