空唄 ~君に贈る愛のうた~
―じゃり..じゃり..


誰かが近づいて来る音がする。

起きなきゃ、と思うけど瞼が重くて開けられない。


「ねぇ、こんなとこで寝たら風邪ひくよ?」


いきなり誰かの声が耳に届いた。


私はこの声を、知ってる。

だいすきな、ノイズまじりの低い声。


「嘘っ……」


重たい瞼を無理矢理こじ開けて、体を勢いよく起こす。







聞き間違えるはずがない。

だいすきな、

だいすきな、

君の声を。







その声のした方を見ると、見慣れた人が立っていた。

印象的な、漆黒の髪に
前とは違う髪と同じ色の瞳。

だけど、確かにいちばん会いたかった人の姿。


「よっ」


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