空唄 ~君に贈る愛のうた~
お風呂に入って、自分の部屋で大好きな歌手の歌きく。

それが花音の日課だった。

プレーヤーの再生ボタンを押して、ベッドに腰かける。

大きくもなく、控えめな音で歌が流れはじめた。


「ん~……やっぱりこの人の歌好きだなぁ」


聞きなれてるはずなのに新鮮な歌声
そして、心に響く歌詞に耳に残るメロディ。

そんな曲を自ら作り出して、幅広い世代に好かれている歌手、光姫。

単純にファンとして、憧れとして
花音がはじめて好きになった歌手。


「よしっ、私も作ろう」


そう意気込むと、ノートにペン。

そして、ベッドの横に立て掛けてあるギターを手に取った。

高校生になって一・二ヶ月経ってから弾きはじめたから、
まだうまくは弾けないけど。

家で曲作りをする時は、このギターを使ってやっていた。

お兄ちゃんの形見のギター。

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