空唄 ~君に贈る愛のうた~
「明日、10時から大丈夫か?」

「うん。大丈夫だよ」

「じゃあ、明日。よろしくな」

「はーい。じゃあ明日ね……
あっ!いっちゃん」

「んっ?」


電話を切ろうとした一誠を呼び止める。


「あぁ~……」


一瞬聞こうか躊躇したけれど


「んー、やっぱりいいや。
おやすみなさい」

「なんだそりゃ(笑)あぁ、おやすみ」


相手が切ったのを確認して、花音も電話を切った。


―幽霊と人間が触れあえると思う?


聞こうとして何故か、喉で言葉が止まった。

理由なんてわからない。

遥の笑顔が頭の中を一瞬過る。


「……まぁ、また明日聞けばいいしね」


クーラーをきかす為に閉めきっていた部屋の窓を開けると
蒸し暑い空気が花音を包む。

そして、空を見上げるといくつかの星が輝いていた。


「また明日か……」


小さな小さな独り言が、夏の夜に淡く消えていった。


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